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スタディガイドSDGs

16面記事

書評

黒崎 岳大 著
17目標や日本の進捗状況を概説

 「持続可能な開発目標」と訳されるSDGs(Sustainable Development Goals)。小・中学校や高校ではそれなりの教育が進み、大学、社会人への啓発が十分ではないというのが本書の問題意識である。大学生を読者に想定しながら「SDGs初学者」向けに執筆した。
 世界各国の目標として示したSDGsの前身が、途上国を念頭に置いた「MDGs」(ミレニアム開発目標)であったことや、各国の進捗状況を指摘する「Sustainable Development Report2021」によって、日本では目標5「ジェンダー平等を実現しよう」以下、「気候変動に具体的な対策を」(目標13)、「海の豊かさを守ろう」(同14)、「陸の豊かさも守ろう」(同15)、「パートナーシップで目標を達成しよう」(同17)が4段階での最低位「最重要課題」となっていることも学ぶことができる。
 各目標について基本的な考え方や目標と方策、日本での具体的取り組みを概説する構成。章末には著者の研究対象である太平洋諸島の国々を素材にした「国際理解コラム」を置く。
 本書ではSDGsを「グローバル社会における常識」と位置付ける。17の目標は知られつつあるが、目標に紐づく169のターゲットを通読している人は、そう多くはないだろう。これからの社会を生きる子どもたちを指導する教師にも理解を深めてほしい世界目標である。
(2310円 学文社)
(矢)

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