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一刀両断 実践者の視点から【第126回】

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第三者によるトラブル解決

 本紙1月10日付1面では、教育委員会職員と学校の教職員のうち、9割が、いじめ問題が拗れた際、第三者機関が必要と答えた調査を紹介している。(https://www.kyoiku-press.com/post-238996/
 確かに拗れた場合は、客観的に判断してくれる機関が必要である。先日、顧問をしている認定子ども園から委員になってほしいと依頼が届いた。
 第三者委員会は忖度なく判断する資質と力量が求められる事になる。はたして自分も含めそうした資質のある適材がいるのだろうかと考えた。私はこれまで様々な第三者委員会の委員を気にして見ては来たが、なるほどと納得できる判断がされた記憶がない。すなわち第三者に相応しい人物は誰なのだろうかと問いたいのである。
 以前、息子が担任と上手くいかず、反発するようになった時があった。こっそり授業を見に行ったが、話にならない程に酷いものだった。しかし、保護者となるとあまり意見が言えない事に気づかされた。明らかに担任の指導力不足がはっきりしていた。
 ようは、こうしたトラブルの経緯を把握し、是々非々の判断と指導の出来る者は限りなく少数であるか皆無に近いと私は捉えている。何故なら教育現場で起きているできごとは、突然や偶然ではなく蓄積されたものだからである。
 本来はこうした課題の解決には、その課題の予防と理解と判断などを管理職に身に付けさせる必要がある。それがマネジメントなのだが、文科省の中にマネジメントを担当する部署はない不思議がある。よって、研修などには元警察官や弁護士などを講師にするが、現実離れした感は否めない。
 本気で、こうしたトラブルを早期に解決させたいのならば、百戦錬磨の実践と法的な力量を持った人物の育成をする必要がある。その域は、部外者の元警察官や弁護士よりもはるかに高い力量にせねばならない。現場にある期間常駐して同苦する腹構えのある者でなければ、その任は務まらないだろうと私は思っている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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