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高等学校 探究授業の創り方 教科・科目別授業モデルの提案

21面記事

書評

田中 博之 編著
20事例通じ「深い学び」の道筋示す

 令和4年度から学年進行で、高校の学習指導要領が大きく変わる。「総合的な探究の時間」をはじめ「古典探究」「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」「理数探究」などの新科目が登場する。小・中・高校と一貫して「主体的・対話的で深い学び」が求められ、探究的な学習は「深い学び」を具現化する。高校にとってはチョーク・アンド・トークと揶揄された授業改善に直結する学習スタイルである。
 本書は、主に教科に軸足を置き「必履修科目での探究授業」「探究科目での探究授業」「選択科目での探究授業」の実践、計20事例を掲載。これらの「探究授業」は「ねらいと概要」「学習指導要領との関わり」「教科の特質を活かして探究的な学習をどう設定したか」「実践の具体的な特徴」などで構成し、生徒の反応も記載され、授業者には理解しやすい。
 各実践は、達すべきレベルを明確にした「評価ルーブリック」を教師と生徒が共有し、学習中も他者評価、自己評価のツールにしている点や、学習の仕方などを明示する「学習の手引き」を活用する点が共有されている。
 編著者の「調べてまとめて発表する」で終わらせない、探究的な学習の理論モデルを色濃く反映したものだ。中間段階で知識が不十分であれば「学び直し」を入れ、発表後も自己成長や探究成果を確認する「価値付け」のステップを踏むなど「深い学び」の道筋を提示し、授業を組み立てる際の指針となる。
(2530円 学事出版)
(矢)

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