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一刀両断 実践者の視点から【第129回】

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子どもを守る予算を

 《“学校にも行かず きょうだいの面倒を”中3男子生徒の傷害致死事件》(TBS NEWS)という見出しで報道されている範囲では、正確な判断が出来にくいが、敢えて推測するならば、同居の交際相手が母親を服従させ、思春期の子ども達に腹を立てての行為と想像できる。生徒は兄弟思いであったという。兄弟をかばった事によりさらに激情させることになり虐待から骨折をさせて死へと至らしめたのでは、と私には考えられる。
 死に至らぬまでも、こうしたケースがあまりに多いように思えてならない。何故止められなかったのかという疑問が残る。これに気づいていた地域の方からの通報に、行政機関はどのように反応したのだろうかと責任を追及する思考が働く。
 通報されたら対処するべきというならば、予算をつけて適切な人材を配置すべきではないだろうか。
 特に学校では人件費に金がかかりすぎているから一律で削減しろと教育の充実を公約に挙げていた議員が豪語する姿が見られる。
 ドイツの教育センターに出向いた時、そうした相談や通報があると、担当職員に加えて専門家が常駐していて即同行する体制が敷かれていた。子ども達を守るという意識を強く感じられた。
 こうした予算をしっかりと付けて、対応ができる様なシステムがあっても十分に機能出来ていないのである。犠牲が出ないよう予算を付けていない首長を選んだ責任は誰にあるのか。ひどいね。悲惨だよね。行政が何で動かないんだ。と追及しても、大本を手繰ると自分に返ってはこないかと問いたい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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