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平和学習とは?学習の概要と各地域の実施事例

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特集 教員の知恵袋

 日本は2020年に戦後75年を迎えました。戦争とは無縁の現代の子どもたちに戦時中に起きたことや戦時中の暮らしを学んでもらうために、学校教育において平和に関する学習が重視されています。

 平和に関する学習は、国語科や社会科、道徳、特別活動などで行われています。今回は平和学習の概要と学習内容を広島市や長崎市などの事例とともに解説します。

平和学習とは

 平和学習とは、小学校・中学校で行われる平和に関する教育を指します。ほかにも平和教育とも呼ばれます。

 学校教育においては、児童・生徒の発達段階に応じて平和に関する教育が行われています。たとえば、中学校の社会科では新学習指導要領に基づき、次のような事項を身につけることを目的としています。

・大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解すること
・核兵器などの脅威に触れながら、戦争を防止して世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育成すること

 平和学習の具体的な進め方については、後半の事例で紹介します。

SDGsと平和学習

 平和学習の推進はSDGsにおいても重要と考えられています。

 SDGsは、地球上の誰一人取り残さないことを宣誓し、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す持続可能な開発目標のことです。SDGsで掲げられる17のゴールには、“平和と公正を全ての人に”という目標も含まれています。

 なお、NHK for Schoolでは、平和学習への活用できる動画教材が公開されています。太平洋戦争の歴史や原爆など、過去の戦争に関する動画のほか、現在も世界に多く存在する難民についての動画など、地球規模で平和や戦争について学ぶことが可能です。

平和学習の事例

 各都道府県では、学校教育を通してさまざまな平和学習が行われています。ここでは、広島市・長崎市・滋賀県で実施されている平和学習の事例を紹介します。

広島市

 広島市では、国語科・社会科・道徳・公民科などの時間に、教科書や“ひろしま平和ノート”を活用して被爆体験や復興、世界平和についての指導が行われています。

 “ひろしま平和ノート”とは、小学校1・2・3年用、小学校4・5・6年用、中学校用、高等学校用の4冊で構成されている教材です。広島市立学校の児童・生徒を対象に2013年度から無償で配布され、広島市立学校平和教育プログラムの中心的教材となっています。

 広島市の教育委員会が取り組む平和教育プログラムでは、次のように、児童・生徒の発達段階に合わせたプログラム内容が設定されています。

・小学校低学年~中学年:被爆当時の実相や人々の気持ちに触れながら、人間・動植物を尊重し、大切にする心情を育てる
・小学校高学年:被爆の実相や復興の様子について理解するとともに、郷土の発展に努めてきた人々への尊敬・感謝の念を深める
・中学校:よりよい社会のために解決すべき課題を探究して自分の考えをまとめ、世界平和に関する問題について考察する
・高等学校:国際社会の課題について多面的・多角的に探究し、平和で持続可能な社会の実現について展望する

長崎市

 長崎市では、平和学習が教育課程全般で実施されるべきものであることを前提に、原爆被爆都市という特殊性を生かした指導が行われてきました。

 たとえば、8月9日を全校登校日として、“平和祈念式”や“平和集会”を実施、小学5年生を対象とした原爆資料館等の見学学習、被爆体験講話の実施などが行われています。そのほか、長崎市内の小・中学校では、平和の大切さを発信できる児童・生徒の育成を目的として作成された小学生版・中学生版の教材も平和学習で活用されています。

 さらに、長崎市では平和教育研修会や平和教育講演会をはじめ、教職員への研修も行われています。1978年度より、各教科・領域における取り扱い・各学校の実践事例などを中心に、平和教育指導資料を編集した平和学習の指導指針となる資料を全教職員へ配布しています。

滋賀県

 滋賀県では、2007度に“平和学習支援検討委員会“が設置されました。この委員会では、平和学習を行ううえでの課題や授業中に使用する資料についてのアンケートを実施し、その結果に基づいた資料・情報・語り部の役割・出番について検討します。

 また、滋賀県にある平和祈念館は、県内の学校で行う平和学習をサポートするために、資料やパネル、写真などの貸し出し、講師の紹介などを行っています。同祈念館では、次のような平和学習の実践・指導が行われています

・近くのお墓を調べたり、地元で戦地へ行った方の手紙を取り上げたりするなど、地域教材を積極的に活用した戦争を身近にとらえるための指導
・戦争の時代を同じ小学生として生きた語り部を通して、戦時中の厳しさや悲しさ、平和の尊さに気付き、これからの社会のあり方についてできることを考え、発信していく学習

平和な国際社会の実現を目指した平和学習の実施

 戦後75年を超えた現在、戦後生まれの人の割合は日本の全人口の8割以上を超えます。平和学習では、戦争によってもたらされる惨禍や核兵器の脅威への理解、世界平和についての考察を行うことなどを目的としています。

 学校教育における平和学習で児童・生徒の戦争・平和への理解を深めるためには、教科書や資料を活用した指導に加え、可能な場合には語り部による講話を取り入れることも一つの方法です。学校と教育委員会が連携することはもちろん、戦時中の生活を知る市民や祈念館などの協力を得ながら平和学習を進めることが重要といえます。

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