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ICT活用の理論と実践 DX時代の教師をめざして

16面記事

書評

稲垣 忠・佐藤 和紀 編著
演習課題も添え幅広く解説

 昨今、ビジネス現場ではDX(デジタル・トランスフォーメーション)が語られない日はない。DXとは、デジタル技術が普及し、日常生活やビジネスが変革されていくことである。この変革は教育の世界にも波及している。折しも、令和3年8月、「教職コアカリキュラム」が改訂され、大学において「情報通信技術を活用した教育の理論及び方法」が必修となった。また、学習指導要領では情報活用能力を「学習の基盤となる資質・能力」として教科横断的に育成するとされている。さらに学校現場では、コロナ禍によって、GIGAスクール構想が急ピッチで進展している。
 このような中、DX時代の教師を目指して、ICTを便利に使うだけではなく、留意点を理解し、学びを深めることを目的として本書を執筆した。前半は理論編。100年に及ぶ歴史、社会の変化、技術の変化と今後の学校教育の変化とICTの役割についてコンパクトにまとめている。
 後半は実践編。ICT活用のさまざまな側面と情報活用能力の育成について、基本的な考え方や事例が収録されている。演習課題も掲載されているので、調べたり体験したりしながら、現在の教育現場のICT活用について幅広く学ぶことができる。
 本書は教職を目指す学生はもとより、今後ますます進展する情報社会の中、自信を持って指導できる教師になるための強力なサポーターとなる一冊である。
(2200円 北大路書房)
(青木 一・信州大学学術研究院准教授)

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