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校則改革 理不尽な生徒指導に苦しむ教師たちの挑戦

14面記事

書評

河崎 仁志・斉藤 ひでみ・内田 良 編著
苦悩と見直しプロセス、具体例で

 メディアが露出する人権を無視した校則以外にも、指導する側に疑問符が浮かぶ校則は少なくない。「真面目に校則指導をする教師ほど理屈で説明できない不要な校則に苦しんでいる」というのは教師の本音であろう。学校によっては、明文化された校則以外の「口伝のルール」に基づく指導も担わねばならない。
 本書は、校則という“呪縛”を解き放つために苦闘した教師たちの取り組みを収める。
 中学校2校の事例と、中学校教師による覆面座談会、高校教師による校則改革案の具体的提案と、高校教師による覆面座談会を第1章から第5章に掲載した。
 校則を変えた事例からは、見直す際に何を大切にするのか、変えていくためのプロセスを適正なものにするために何が必要か、など校則を見直したい学校には参考になる。
 文科省通知(令和3年6月8日)には生徒指導提要から引いた「絶えず積極的に見直さなければなりません」という文言があり、校則見直しには追い風が吹いている。
 第6章(「個性尊重のため先生が闘った」)は市長のトップダウンで制服を強制されそうになった教師集団の反対運動とその顛末を描き、アイロニカルだ。
 「人の嫌がることは、ほかの人にしない」と学校では教えるが、「標準服」という名の義務化された制服着用に異議申し立てする生徒たちにどう答えるか。「先生」とは大変な職業だと改めて知る。
(1980円 東洋館出版社)
(矢)

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