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一刀両断 実践者の視点から【第149回】

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論説・コラム

残虐行為の心理的影響

 諸国のリーダーがウクライナ現地に出向き始めている。私がこの連載記事で訴えてきたことである。声が届いたようで、行動こそ雄弁と力強く感じられる。ただし、プーチンの孤立は暴走を誘発する危険を伴う。
 ここで行動を起こすには判断をどうするかという事になる。命よりも大切なものは何だろうか。プーチンに尋ねたら何と答えるだろうか。宗教も加担しているという報道もあるが、それが事実ならば戦争の前には倫理も道徳も無力化してしまう。その現実を私たちは学ばなければならない。ならばどうするか、この解決策を誰一人として明確に打ち出してはいない。
 ロシアの中で戦争反対の運動を起こしている有志は身の危険を承知で行動している。その意味では、内側からの崩壊を仕掛ける事が一番の策と思われる。当然、組織の引き締めをするだろうが、人の心をどこまで拘束出来るだろうか。
 虐殺や虚偽をやった人間の末路は怯えと自責に襲われて、平穏な安らぎは訪れないだろう。やがて死を迎えるときにどのような醜態を現すだろうか。
 親の子として産まれ、親になり、子を愛しむ反面、兵士として残虐行為をしてしまった心理面に及ぼす影響はベトナム戦争をも超えるだろう。その時に教育はどのような役割を果たせるだろうか。未来を思考して準備するのも私たちの役割かもしれない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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