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採用選考の見直しを 大学教授らが教師不足巡り提言

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会見するプロジェクトのメンバー=9日、文科省

 公立学校の教師不足問題を受けて、大学教授らのグループが9日、教員採用選考の見直しなどを求める提言をまとめた。文科省や教育委員会などの関係機関に近く提出する。
 グループは末富芳・日本大学教授と学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊氏、元教職員からなる「スクール・ボイス・プロジェクト」が呼び掛ける活動の一環で、今後も学校の教師不足の実態などを保護者や社会に情報発信するという。
 今回の提言では教師不足の背景には、特別支援学級や休職者の増加、講師希望者の減少など複数の理由があると指摘。公教育の質低下の恐れに言及し、採用選考の見直しなどの「応急処置」と、働き方改革に関する「体質改善」、定数改善などの「根本治療」の三つの観点からまとめた。
 採用選考では、大学推薦枠の拡充や試験実施時期の前倒し、教員になった場合の奨学金の返還免除の仕組みの復活など要望。また、特別免許状の授与対象について、現行のように専門性でなく、NPOなどの団体で子どもと関わってきた経験を重視するよう訴えた。
 「根本治療」としては定数改善を掲げた。教師不足には非正規教員の割合が高まっていることが大きく影響しているとして、非正規教員の割合に上限を設定することなども求めている。
 妹尾氏は「少子化により学級数が減ることが想定されるため、自治体には正規採用の数を抑えて、非正規で対応しておきたいという事情はある。だが、こうした施策を実行すれば正規教員の雇い控えを緩和できる」などと訴えた。
 文科省は「教師不足」について、都道府県や政令指定都市の教委の配置数を満たしていないため欠員が起きている状態としている。同省の調査によると、公立の小・中学校では昨年度の始業日時点で2086人、学校基本調査の基準日である5月1日時点でも1701人だった。
 スクール・ボイス・プロジェクトに参加している元小学校教諭の男性は会見で「複数の欠員が出て教師に過剰な負担が集まる学校も少なくない。子どもを教え・育てる学校が、教師の産休や育休を手放しで喜べなくなっている状況にある」と訴えた。

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