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校長の挑戦 10人の校長が語る、学校改革の軌跡

12面記事

書評

「教職研修」編集部 著
子どもを主語にした改革、果敢に

 コロナ禍での学校教育はさまざまな制限や教育活動の見直しが迫られた。校長職にあっては苦渋の判断を強いられる場面も多々あっただろう。しかし、本書に登場する10人の校長先生方は、むしろ生き生きと学校運営を進めている。本書からは、そのエネルギッシュな姿が強烈に伝わってくる。
 校長として教育活動を進める中で大事にしていることや、学校現場のリアルな様子を語るようにつづられていて興味深く、10人それぞれの挑戦に共通点があると感じた。例えば「一貫した信念があること」「子どもを育む仕掛けをもつこと」「子どもを主語にした学校経営であること」である。そのためには「生徒に委ねる・任せる」「教職員と共有する」そして何より「とにかくやってみる」という積極性。最後の責任は校長が取る覚悟で失敗を恐れないところも共通している。
 また、どの校長先生も教育の動向などをよく勉強している。だからこそ、果敢に挑戦し続けられるのだろう。「校長も学び続けるべき存在」との言葉は胸に刻みたい。校長職は、多忙で苦しいことが多いのは確か。でも、実に創造的で夢のある仕事なのだと思わせてくれる。魅力的な校長先生10人それぞれの取り組みはどれも参考になり、勇気付けられる。管理職はもちろん教育に関わる全ての方にお薦めしたい。これからの時代の管理職像が見えてくるはず。
(2420円 教育開発研究所)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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