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学校心理学の理論から創る 生徒指導と進路指導・キャリア教育

14面記事

書評

山口 豊一 編
心理職・教員の研修、学び直しに

 スクールカウンセラーが学校に配置されるようになってから20年以上がたつ。最近ではスクールソーシャルワーカーの導入も進んでいる。この背景には、学校の課題がかつての非行から、いじめ・不登校などの対人関係に起因するものへと変化したからであろう。
 生徒指導や進路指導・キャリア教育においては、これまでの教員個々の熱意や使命感では解決が困難となり、心理学的アプローチが求められている。しかし、現状の大学の教職課程においては、この分野での学習が十分とはいえない。
 学校心理学の概念は1990年代から始まっており、評者の勤務する日本教育会でも毎夏「学校心理カウンセラー研修講座」を開催し、多数の教員が受講している。
 本書は、対人援助職を目指す学生向けのテキストとして書かれているが、心理職や教員の研修にも大変参考になる。
 第1部では生徒指導について、第2部では進路指導・キャリア教育について、それぞれ学校心理学の視点から理論化されている。特に第1部ではチームによる援助サービス、第2部では就学前から大学まで校種別にキャリア教育を分かりやすく解説している。
 免許更新に代わり研修履歴の作成が義務化されることになったが、教員も常に「学び直し」が必要だ。若手だけでなく、ベテラン教員にも読んでほしい一冊である。
(1980円 学文社)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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