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生徒の未来を支えるオルタナティブ高校の挑戦 解決志向の学校をつくろう!

18面記事

書評

シンシア・フランクリン、カルビン・L・ストリーター、リンダ・ウェッブ、サマンサ・グーズ 著
三島 徳雄・竹之内 裕一・ネルソン 彩 訳
前向きで持続的な行動引き出す

 米国テキサス州のゴンザーロ・ガーザ独立高校の取り組みの成果を翻訳したのが本書である。メンタルヘルス問題、薬物使用、妊娠、ホームレス、LGBT、いじめなどで高校生活の停滞を余儀なくされ、転校してきた生徒たちを受け入れ、生徒たちの将来を切り開いてきた教師と学校の実践記録だ。
 その大きな特色は解決志向ブリーフセラピーを取り入れ、組織に従う指導よりも生徒を尊重した指導の原理に基づき生徒に向き合い、学校そのものも運営されている点にある。生徒の抱える課題に対して、教師が「問題解決」することよりも、教師は「解決構築」を大切にし、生徒が自らの現状を理解し、未来を展望することで前向きで持続的な行動を引き出す。
 同校のプログラムの創造、構築するための方略や、協力的な、解決志向の関係の築き方、成功のためのゴール設定・前向きな期待・前向きな感情、解決志向の生徒支援チームを作る方法、カリキュラムと指導、長期的な持続可能性と成功の全7章から、解決志向ブリーフセラピーの「聴き、選び、そして築く」技術の詳細、全体像などを知ることができる。
 解決志向のオルタナティブ高校と呼ばれる同校のノウハウは、日本国内でも厳しい生徒指導場面を多く抱える学校などでの指導の在り方を点検する材料としてだけでなく、生徒と向き合う際の原理としても学ぶべき点があるのではないか。
(2970円 金子書房)
(矢)

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