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1人1台端末で起こるクラスのICTトラブルへの予防と対応

12面記事

書評

松尾 英明 著
ルール作りなど指導法、具体的に

 ICTを積極活用する千葉大学教育学部附属小に勤務し、学級づくり修養会HOPEを主宰する著者自身の経験に、仲間たちの知見を加えて、タブレット端末導入による学級でのトラブルの予防と対応についてまとめた。
 「予防が命」と強調する本書の眼目は予防術を解説した第2章にある。「まずは使用ルールを作る」「チャット機能は制限する」「IDとパスワードは保護者と学校で管理する」「端末の故障を前提に準備する」「同期型授業でも紙媒体を用意する」「ハイブリッド型は『諦めて』もらう」「教室での一斉大容量データ使用は控える」など19項目を示す。
 項目ごとに「予防のためにすること」と、それは「なぜ?」なのかを示し、項目によってはさらに深掘りしていく。例えば「ネットゲームやYouTube視聴は禁止にする」では、あらかじめ「使用不可」ルールを共通理解しておくことで、家庭でのルール破りを保護者が制止しやすくしておく。
 学校貸与の端末を前提に、予防術では制限事項が多いが、理想の活用法に向け、徐々に制限を緩める方が心理的なマイナスが少ないと考えているためだ。
 起こってしまった場合のトラブル対応術(第3章)も19項目を掲載。児童だけでなく、家庭や保護者との摩擦にも言及する。
 現場ならではの知恵が予防術、対応術に生かされており、悩みを抱える学校があれば、ぜひ参考にしてみたい。
(1980円 明治図書出版)
(矢)

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