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授業で語る 違いから迫る本質論

15面記事

書評

土居 正博・松村 英治 著
タイプ異なる実践家が悩みに答える

 全国の教師から質問を募り、授業の準備段階を「デザイン」、授業の中での教師の働き掛けを「アクション」、子どもの学びの様子の振り返りを「リフレクション」に分類し、タイプの異なる2人の公立小教師が質問に答える形で、それぞれの授業論を展開した。
 「子どもに確かな力をつけながら、教師にとって持続可能な授業準備の仕方とは?」(デザイン)といった現代的課題を加味した質問がある一方、「子ども主体の学習計画を立てるには?」(デザイン)や「きちんと伝わる指示の仕方は?」「子どもの発言の受け止め方はどうする?」(共にアクション)など、ベーシックな悩みも目立つ。
 「作業スピードに差があるクラスでのひと工夫は?」(アクション)に対して、土居氏は「レポート作成」など「終わりのない課題」を用意する実践を披露する。松村氏は授業アイデア(リフレクション・デザイン)について語る中で「課題意識」を持ち続け、例えば「通知表を渡して読ませてから話す」という「発想の転換」をしたことを語る。それぞれの「答え」で示される2人の言動の一つ一つに深い意味があることに気付かされる。
 求道者やファシリテーターなど教師のタイプは十人十色だろう。読者も自分ならそれぞれの質問にどう答えるか、試みてはどうか。その振り返りの時間は授業の在り方を見直すだけでなく、授業の魅力と可能性を再認識する時間となるのではないか。
(2200円 東洋館出版社)
(矢)

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