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一刀両断 実践者の視点から【第183回】

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小学校の教科担任制を進めるなら

 《教科ごとに専門の教員 熊谷知事が“専科教員”配置小学校を視察》(千葉テレビ放送)という見出しのネットニュースに期待と不合理を感じた。
 一番は専科教員の配置により、準備を要する教科の負担が減るからである。授業の空き時間は採点等の事務作業に充てられる。
 空き時間の時間数は学年によりかなり異なる。子どもがいるのだから、休み時間が休息時間になれるわけがなく、その時間にも打合せや会議が持たれているのが現実である。
 その現実からすれば専科の先生に入って頂けることは嬉しい。ただし、完全にお任せという姿勢ではなく、授業の数回や半分は補助として入り俯瞰して学ぶ事が有益と感じている。そうした教育効果を考えながら、更に増員をするべきである。
 また、専科の教員は非常勤でなく正規採用にする必要がある。非常勤であっても時給を倍額にして処遇を改善するべきである。
 善意を利用して漁夫の利を得ている輩は行政にも政治家にも多く存在している。これが「ブラック」を作っている根源である事を教師はこれからの働き方改革の為にも躊躇せずに強く発信する責任がある。
 そうした環境を知っていて理想論ばかり打ち出す省庁や大学は、教え子が望ましくない環境で働く事を容認しない姿勢をもっと示すべきではないだろうか。かなり声高に働き方改革は浸透してはいるが、実態とのずれはまだまだと私は見ている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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