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一刀両断 実践者の視点から【第188回】

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論説・コラム

住職だった校長

 宗教団体が献金を求める理由は何だろうか。お布施を含めてその使い道を見定める必要がある。
 本来、欲望に左右されない境地を求めて修行をするのだから金品は遠ざけるものである。しかし現実はそうとは思えない醜態が散見出来る。
 末寺にはノルマがあって本山には上納金を差し出すというシステムがある。檀家の多い寺は左うちわと言われている。金と権力を手にしても、民衆に還元するのなら素晴らしいと思えるが、金紗や銀紗を身につけて神々しく見せて立ち振る舞う姿からは勘違いをしているように思えてならない。
 仏陀もキリストもアラーも、さらにはガンジーも布切れ一枚をまとって説法に回った。
 私が仕えた校長に末寺の住職がいたが、夏休みに塔婆を校長室で書いていた。その姿におかしいと感じるよりも哀れに感じられた。
 釈迦は、死後に私の墓を拝むとかよりも教えを大切にするよう、弟子におりある毎に説諭したという。すなわち実行や行動でしか何も変わらないからである。こうした教祖達は苦難をものともせずに行動した人々であるはずである。まやかしの宗教はリーダーが華美に着飾っている事が共通している。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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