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一刀両断 実践者の視点から【第194回】

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論説・コラム

水難事故を防ぎたい
 
 《沖合で…37歳男性溺れ死亡 家族と海水浴に 千葉・館山市》(FNNプライムオンライン)という見出しのニュースがあった。こうした事故はしばしば起こるが見過ごしてはならない。
 詳しくは読み取れないが、父親が亡くなるケースはあまりに多い。子どもが溺れて助けに行って亡くなった友人が私にも2人いる。
 日赤の水難救助員の資格を取る際に、あえて溺れさせて気を失わせてから顎に手を回して立ち泳ぎで戻る訓練を受け、紐や棒を渡して手繰り寄せてきたら離すという方法も学んだ。溺れる者の力は想定を超えるからである。
 そこで、私はレジ袋を常に持参して海川へ出向くようにしている。煽って空気を入れて簡易な浮き具にできるからである。
 沖に流れる海流の速さや川の水温の違いなども、溺れるギリギリ手前のような状態で体験している。離岸流は極めて恐ろしく、ビーチボールを取りに泳いで振り向くと感覚は50メートルのはずが300メートル近くになっていた。いくら泳いでも前に進まない恐ろしさが今でも蘇る。
 毎年、この時期にはこうしたニュースが流される。学校での水泳指導は少なくなり、教員試験でも実技からなくなるようになった。ならばどこでこうした事故を防ぐ術を学ぶのだろうか。学校にプールのある国は日本ぐらいなのであるから、指導すべき事は養成段階でも身につけておくべきではないだろうか。残された子どもや遺族の哀しみは計り知れないのだから。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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