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一刀両断 実践者の視点から【第202回】

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こども家庭庁といじめ問題

 今年の通常国会では、こども家庭庁の設立をめぐる質疑があった。いじめ問題に関し、文科省と、こども家庭庁の役割について政府の考え方が明らかになっている。いじめ問題の責任者は文科相かとの質問についての記事からは、いじめが予防されるという期待感が持てなかった。質疑があまりに抽象的で、行政機関がまた一つ増えるだけというイメージしか持てなかった。
 この省庁は当初、「こども庁」と呼ばれていた。「統一教会」の関係で名前が変更されたとのではと言うケチがついてしまった事は誠に残念である。「統一教会」の問題では、要職についてから、実は関わっていたとの政治家の報道がある。嘘も平気でつく者が何と多い事かと呆れてしまう。票になる。得をする。となれば飛びつく政治家のスキルは実に情けない。
 いじめ問題に戻ると、文科の対応が不適切なら子ども家庭庁が動くとしているが、学校で言うなら教頭の対応が不味ければ最後の砦の校長が出て収めるというシステムに似ている。
 責任を取ると言うか、有耶無耶にする層を厚くする事にもなりかねない。学校での問題が市教委へ上がり、教育事務所に上がり、教育庁の担当が回答をする。文科へ問い合わせてもそれぞれの事案によるのでと回答は避けられてしまうのが日常であった。
 この流れからすると、学校現場がさらに煩雑にされてしまい。これまで以上に曖昧になり対応が遅くなるのではないかと危惧してしまう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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