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教師の育て方 大学の教師教育×学校の教師教育

12面記事

書評

武田 信子・多賀 一郎 著
教員の質確保へ 論点と課題を提起

 世界の「教師教育」事情に通じ、養成経験のある研究者と、国立大附属校勤務を経て私立小学校での新人教員の指導経験を持ち、同時に大学での教職課程を担当した教育アドバイザーが、教員の育て方を巡り、出口(大学)と入り口(学校)での課題や理想を語り合った。
 「教師教育」は誰が担い(第1章)、何をすべきか(第2章)、これからの教師モデルとは、どうあるべきか(第3章)、教師教育者の専門性をどう開発するか(第4章)、教員採用試験の在り方、教員のレベル低下への対応はどうするか(第5章)、子どもの変化に対応した教師教育とは、どうあるべきか(終章)など、より良き「教師教育」に向けた論点を網羅する。
 例えば、学校現場での実践経験がない研究者教員や、学校管理職経験者、研究者志向の元学校教員などさまざまな実務家教員が、それぞれの立場で教員養成に当たるが、チーム全体としての共通理解の形成、教師教育者としての専門性の担保が必要なことが本書を読むとよく分かる。
 教員採用試験の倍率が急速に落ち込む中、質の良い教員の養成・確保は、喫緊の課題。各章に付す「ワーク」によって、大学での教師教育者、学校現場の教師教育者などに話し合い、考えてもらいたい課題を明示し、それぞれの立場で「教師教育」改善に向けた機会を創出した。学校現場でも、ぜひディスカッションしてほしい内容がある。
(1980円 学事出版)
(矢)

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