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第48回JAET全国大会を愛知県春日井市で開催

9面記事

ICT教育特集

(左)高橋 純 日本教育工学協会会長、東京学芸大学教授
(右)水谷 年孝 春日井市大会実行委員長、春日井市立高森台中学校校長

 日本教育工学協会(JAET)は、10月28・29日に愛知県春日井市で「第48回全日本教育工学研究協議会全国大会」を開催する。GIGAスクール構想による1人1台環境が整った今、協働的な学びや個別最適な学びを実現する授業はどうあるべきか。市内6校の小中学校による授業公開や研究・実践発表、最新の企業製品紹介を通して実践と理論の交流を図る。3年ぶりの対面開催に向け、会長の高橋純氏(東京学芸大学教授)と、大会実行委員長の水谷年孝氏(春日井市立高森台中学校校長)に見どころを聞いた。

ICT活用の先進例を授業公開

 高橋 3年ぶりに対面での開催となりました。大会1日目午前の授業公開を楽しみにされている先生方も多いのではないでしょうか。本協会では、「学校情報化認定」事業があります。教科指導におけるICT活用、情報教育、校務の情報化に積極的に取り組んでいる学校を「学校情報化優良校」や「学校情報化先進校」として認定し、さらに優良校が一定以上の割合になった地域を「学校情報化先進地域」として認定しています。
 今大会では先進校や優良校に認定された6校の小中学校が授業公開と研究協議を行います。

 水谷 出川小学校、藤山台小学校、高森台中学校は市の研究指定校としてこれまでも広く授業を公開してきました。そこに勝川小学校、藤山台中学校、坂下中学校が加わり、開催決定から2年間の研究成果を発表します。
 大会テーマは「GIGAスクール環境の日常的な活用で実現する令和の学び」です。日常の授業を良くしようという営みの上に、GIGAスクール構想による1人1台端末環境とクラウド活用の授業が始まりました。2年間の研究の現時点での到達点を多くの方に見ていただき、議論を深め、これからの授業づくりの参考にしていただければと実行委員一同、願っています。

 高橋 実行委員会の皆さんが決めたテーマを見たときに「守破離」というキーワードが浮かびました。春日井市はICT活用の研究に長らく取り組んできました。これまでは、学びに向かう習慣や規律づくり、基礎基本の徹底を目指し、実物投影機や大型モニターなどを積極的に使う「守」のICT活用のイメージが強かったです。それがテーマの「日常的な活用」に込められていると思いました。
 一方「令和の学び」に込められているのは「破」や「離」のICT活用です。この2年間、協働的な学びや個別最適な学びをICTでどう実現するかに挑戦しています。子どもたちが自分の将来に向けて自分で学びを選び取るために、人生の中で上手にICTを活用することを目指した、真の個別最適な学びへのチャレンジといえます。 
 参観者には「この授業は、『破・離』に挑戦しているな」とか「授業のこの部分は『守』だけれど『破・離』の部分もバランスが取れているな」などの視点で見ていただけると良いと思います。

 水谷 どの学年でどの教科や活動を公開するかは、学校長にお任せしました。今回、高森台中は全クラスで授業公開をしますが、これは全国大会という貴重な学びの機会をどの先生にも経験してほしい、そのために学校全体で研究を推進しようという狙いがあります。各校の公開状況にも学校ごとの研究の方向性やそのための戦略が読み取れると思います。公開後の研究協議会ではそうした背景も説明する予定です。

基調講演やシンポジウムで最新動向を共有

 高橋 1日目午後は、学校情報化先進校表彰と基調講演、シンポジウムが企画されています。基調講演では「これからの学びに対応する情報活用能力の育成」をテーマに、東北大学および東京学芸大学の堀田龍也教授にご講演いただきます。教育の情報化のリーダーである堀田先生のお話は、今後の方向性なども含めて期待が大きいところだと思います。

 水谷 シンポジウムは公開校6校の授業指導者に、各校の取り組みを価値付けていただき、実践を浮き彫りにする場としたいと考えました。参加者の皆さんには、見学できなかった他校の状況や情報が得られ、全体像がつかめると思います。

130以上の研究発表新製品のワークショップも

 高橋 本協会は全国の教員、教育情報化関連企業、教育の情報化を研究対象としている教育工学研究者の三者をつなぐ役割があります。2日目はその三者が一堂に会し、全国各地の取り組みを研究発表等で共有する機会となります。
 研究発表では「A情報教育(情報活用能力の育成等)」「B情報モラル、情報セキュリティ」など10のテーマを設けています。今回は130件以上の応募があり大変盛況です。
 ワークショップは、教育情報化関連企業が提供する製品をより良く理解し、活用できるようにと企画されました。具体的な活用事例や方法を紹介するだけでなく、体験しながら活用をイメージしていただけると思います。

実践の広がりを感じる若手の登壇に期待

 水谷 2日目のトークセッション「若手教員が語り合う『GIGAスクール環境の日常的な活用で実現する令和の学び』」は、今大会のオリジナル企画です。
 春日井市内の若手の先生たちは、この2年間、コロナ禍の厳しい状況下にもかかわらず、ICT活用に取り組み、たしかな手応えを得てきました。研究中の苦労や助けになった支援、そして自分たちが次の教員世代にどのような支援ができるかを共有し、今大会を締めくくろうと考えました。コーディネーターは高橋先生にお願いしています。

 高橋 春日井流の継承や代替わりの上手さ、群を抜く実践の裾野の広さをぜひ肌で感じてほしいですね。
 春日井市では「子どもの学びの変化」を起こすために、これまでの授業スタイルを根本から問い直してきました。タブレットの操作方法をどう教えるか、ではなく、新たな別のフェーズに足を踏み入れている新しい授業の実践事例を通して、参加者と時代の変化を共有したいと思います。
 本協会は1971年の設立以来、教員、企業、研究者が力を合わせて教育工学研究の普及と発展に努めてきました。GIGAスクール構想のよりよい実現を目指し、教育実践の普及と質の向上に寄与する大会となるよう、実行委員会も準備を進めています。ぜひ、多くのご参加をお待ちしています。

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