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教師のためのお金の教科書

16面記事

書評

佐藤 龍 著
先行き不透明な時代の付き合い方

 金融教育あるいは金融経済教育、金融リテラシーなどの指導と理解がより求められるようになった学校教育。家庭の貧困に影響を受ける子どもの増加など、「お金」にまつわる課題は教師にも無縁ではなくなった。
 本書は、教師自身が「お金」に困らない人生を設計するために必要な知識を述べたものだが、「お金」についての理解を深めることは、そのまま前述の幾つかの課題対応にも通じる。
 「『お金の世界』を、歩く。」(1章)によっていざない、「支出を、減らす。」(2章)や「収入を、増やす。」(3章)で具体的手だてを示し、年代別に教師が今何をすべきかなどを述べながら「『お金の世界』で、自立する。」(4章)ことを目指した。
 地方自治体や国家の財政が厳しさを増す中で、「iDeCo」や「つみたてNISA」などが登場し、自衛のための手段が推奨されるなど、先行き不透明な時代への備え、「お金」との新たな付き合い方が求められるようになっている。著者は「長期」「積立」「分散」を資産運用の基本とし「利率5~10%の複利で増やすこと」を目標としている。
 長らく教師(公務員)の老後は比較的安泰といわれてきた。多忙な業務にあって「資産」などへの関心はそれぞれ濃淡あるだろうが、「お金の世界」の仕組みや変化などを理解しておくことは、自身のため、これからを生きる子どものためにも必要かもしれない。
(1760円 明治図書出版)
(矢)

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