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学校安全、改めて問う「大川小訴訟」巡る映画、公開

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昨年6月の試写会で大学生との対話に臨む遺族、弁護団ら。遺族と弁護団は映画の中で何度も登場する

 12年前の東日本大震災で、津波により避難中の児童と教職員のほとんどが命を落とした宮城県石巻市立大川小学校(閉校)の事故を巡り、遺族の一部が起こした裁判を通して、学校を巡る安全や危機管理について理解を深められるドキュメンタリー映画の公開が始まった。2月には、東京の映画館で上映が始まり、北は北海道から南は沖縄まで全国の映画館で上映されていく。
 タイトルは「生きる―大川小学校津波裁判を闘った人たち」。寺田和弘監督の手による。遺族が撮影した映像を編集するとともに、追加撮影を行い、124分の作品に仕上げた。
 震災後、当時の大川小学校の校長や教育委員会事務局幹部が遺族に対して、震災前後の状況を説明、質問を受け、応答する場面を収録。弁護団が裁判に当たって、どのような経路をたどって避難すれば、命を落とすことがなかったか検証する場面もある。遺族へのインタビューでは、当時の大川小学校の教職員集団の在り方について触れる言葉を収めた。
 この裁判は令和元年に、最高裁が上告を棄却して高裁判決が確定。津波浸水の可能性がある地域を示すハザードマップを行政機関が作っていても、学校側には独自に、安全対策を行う必要があるといった考えを示し、石巻市などに損害賠償を命じた。
 上映する映画館と上映期間は、インターネット上で公開されている。5月ごろまで上映する映画館も、今週中に上映期間が終わる映画館もある。

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