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やさしく学ぶ教職課程 教育の方法・技術とICT

14面記事

書評

古賀 毅・高橋 優 編著
実践力の研鑽に励む現職教員にも

 コロナ禍の3年間で教育は大きな転換期を迎えている。その代表格がGIGAスクール構想であろう。文科省は、大学や短大の教職課程で小・中・高校の教員免許を取得する際、ICT(情報通信技術)を活用した教育に関する科目の履修を義務付けることを決めた。
 以前、教員の大量退職時代を迎え、ベテランのスキル伝承が課題といわれたが、ICTには若手の方が精通している。その意味でベテラン教員の役割も再考される。
 本書は大学の教職課程で学ぶ学生や現場で実践力の研鑽に取り組んでいる教員向けに、教育方法の基礎的な知識・技術とICT活用能力獲得のために書かれている。
 ただ、ICTはツールであり、本来の目的は個別最適な学びや協働的な学びの実現である。本書の前半では教育の方法・技術について基礎から学べるようになっており、後半でICT事項を取り扱っている。大切なのは教員が両者をどう融合させるかであるとしている。
 ICTは日進月歩である。今まで以上に教員には継続的な研修が求められる。また、支援員の増員等、サポート環境の改善も望まれる。一刻も早い教員の働き方改革も必要である。
 教職を志す学生や若手教員はもとより、多くの学校関係者、特に大学時代にこのような科目を受講していない世代の教員に読んでほしい一冊である。
(2310円 学文社)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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