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一刀両断 実践者の視点から【第301回】

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教員による兼業

 《先生が”夜のバイト”先で逮捕 「想定外」に教育委員会も困惑》(毎日新聞)という見出しの記事がある。
 以前、ある学校の教頭が、娘のピアノレッスン代を捻出する為にアルバイトしていた事が発覚した。私は担当ではなかったが、本人の帰宅に合わせて処分辞令を渡すように言われた。職務専念義務に抵触するのだという。腑に落ちないところがあった。
 そのバイトは遠く離れたスーパーでのレジ打ちであった。確かに定期的に収入を得ていたので抵触はするが、教育に関連する大学での非常勤は認可されている。
 レジ打ちは、教育に関連する仕事とは言い難いが、スーパーの仕組みや客層を知り教育に応用できないわけではない。線引きは難しい。当時、買い物へ行った保護者からのタレコミで発覚した。
 家業で会社を経営している場合、教員が役員になっていても本人報酬がなければ許容されているが、生活を共にしているのだから入口は違っても家業の恩恵は受けている。
 副業を持つと、本業に専念できないからとがめられるが、株や先物、マンション経営など抜け道はいくらでもある。この基準からすると、分からなければよいとしていると言った方が実態に合っているのではないだろうか。
 そろそろ兼業についての制約は撤廃に向けて実を取る見直しをすべきではないだろうか。先延ばしは闇と不信を増長し結果としてメディアの餌にされてしまう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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