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一刀両断 実践者の視点から【第304回】

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忍耐力を身に付けるまで

 忍耐力はどのように養われるのだろうか。私の場合任用室長からかなりの降格をして頂き自分が面接に参加した校長の元に教頭として配置された時が印象深い。何故なら市教委も校長の意見よりも私の意見を探るからである。ある時はあの学校には校長が二人いるとも揶揄された事を懐かしく思い出す。
 県からの意向で呼び寄せられた時には機械しかない個室の部屋のコンピュータの管理人にして頂いた。お陰で東大と3次元ソフトを開発する事にもなったから勉強にはなったしその後役立てる事も出来た。
 見知らぬ地での校長となり赴任したが裁判と学校事故の後始末に3年かかり、その後意図せずにまた他の地へ飛ばされた。ここでは私の言動がこれまでの平穏な仲の良い校長会を混乱させたと臨時校長会が開かれた。
 市長から申し訳ないが収まらないので、あなたが正しいのは分かっているが処分をさせてくださいと懇願までされた。任期を終えてその市を後にする時は送別会はなく、自治会長達が市を挙げて異例の会を開いてくれた。
 最後の学校も大規模で課題の山積している学校だった。全国規模の出来事があったが日々充実していた。そして定年、何度かお断りしたが新任校長の育成などを再任用で担当する事になった。
 振り返ると40歳の任用室長として上司に「お言葉ですが」と言ったところからこの風光明媚のロードは始まったように思える。その甲斐あって今があるのだから意味のあった事と感謝をしている。
 結果論だが、天国と地獄を数回行き来できた事は本来恐れるものは何かを教えてくれた気がする。それは自己保身と慢心と虚栄である。人を軽視したり批判したりする前に自らを養えと言われた恩師の言葉が今も心に刺さっている。有難いことだ。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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