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教員の処遇改善へ 特別部会が初会合

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 教員の処遇改善や働き方改革について議論する中央教育審議会の「質の高い教師の確保特別部会」が26日、初会合を開いた。委員からは、国や教育委員会それぞれが働き方改革で主体的に役割を果たすことの必要性を指摘する声や、前例や慣習にとらわれない幅広い議論が必要だとする声があがった。部会長には千葉大学教授の貞廣斎子氏が就いた。
 4月に公表された勤務実態調査では、1カ月あたりの残業時間が小学校で41時間、中学校で58時間と、平成28年度調査よりも減少したが依然長時間労働が続いている。教員不足も深刻で、本年度始業日時点で全国29の教委で昨年度より教員不足が悪化しているなど、教員を巡る環境の改善は喫緊の課題だ。
 文科省では、昨年末から有識者会議で議論し、教職調整額の増額や新たな手当の創設などの論点をまとめた。それを受けて、5月には永岡桂子文科相が中教審に

 ・働き方改革の推進
 ・処遇改善
 ・学校の指導・運営体制の充実

 ―について諮問した。

 この日の初会合では、各委員から教員の処遇改善に向けた環境整備などの意見が上がった。
 埼玉県戸田市の戸ヶ崎勤教育長は「国や都道府県、市町村などそれぞれの主体が責任と当事者意識をもって役割を果たすことが重要だ」と話した。
 岡山県の鍵本芳明教育長は病休の代替教員が足りない現場の状況を踏まえ、「支援員の配置など、指導運営体制を早急に改善することが重要だ」と訴えた。
 教育研究家の妹尾昌俊氏は「教員にあれもこれも期待しすぎることは、教員採用試験を受けようとする人がもっと減ることになりかねない」と指摘。その上で「伸び伸びと教員をできる環境をつくることが質の高い人材の確保にもつながる」と述べた。
 特別部会では、来年の春頃をめどに一定の方向性を示す。

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