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一刀両断 実践者の視点から【第335回】

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夜間中学で学べるものとは

 《24年春開校の熊本県立夜間中学、入学説明会を開催へ 15日から県内6カ所で》(熊本日日新聞)という見出しの記事でも分かるように全国に夜間中学設置が広がっている。現在44校から再来年度は58校になる。不登校の増加などがニーズを高めている。教育機会確保法が成立して夜間中学の設置などの措置を講じる事が自治体に義務として規定されている。
 10代から70代の15人が通う東北地方初の公立夜間中学はこの4月からスタートした。校長が、個別の勉強だけでなく、皆で行動する学校生活にも喜びを感じているのではないか、一人でも出来る学びよりも学び合いを大切にしたいと述べたという。重要な視点を示している。
 私も2部生だったから、その指摘は身にしみて分かる。
 夜間の学びの場には、年齢や経験や生き方や仕事感など同年代だと平面になりやすい思考が立体的に広がる。定年間際の方が最前列で授業に臨まれる姿には無言の説得力があり、自分の甘さを痛感させられた。
 夜間高校と夜間中学と大学2部とは、それぞれに異なる存在理由があるが、学びたい、志を今一度という思いを行動に移した方々の熱がある事は間違いがない。
 のほほんと学んでいる学生や教授達は夜間中学に参観に出向いて、授業を受けたり、したりして今一度「学びたい」の原点を確認する必要があるのではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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