日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

実験用カセットこんろの授業実践

8面記事

企画特集

「カセットこんろ」で試験管を加熱

茅ヶ崎市立鶴嶺中学校 活用レポート

 科学的な見方や考え方を養う、理科での「実験・観察」の機会を増やそうと、ガスバーナーよりも手軽で安全性の高い「実験用カセットこんろ」を加熱実験で使用する学校が増えている。ここでは、神奈川県茅ヶ崎市立鶴嶺中学校で、2学年の理科を担当する横倉結教諭の活用レポートを紹介する。


横倉 結 教諭

カセットこんろを実験で使用する利点
 最近の理科授業における加熱実験では、教科書にガスバーナーの記載がない限り、「実験用カセットこんろ」を使用している。その利点は、

 (1) 安全性があり実験に集中しやすい
 (2) 使い慣れた形なので理科が苦手な生徒でも実験しやすい
 (3) こんろ自体が安定しているので倒れる危険性がない
 (4) メンテナンスがガスバーナーと比べるとしやすい

 ―といったことが挙げられる。

 とにかく、生徒が安心して積極的に火を使う実験ができるようになったと感じる場面が多い。安全性がある道具を使用できると心の余裕も生まれ、教師も安心して火の扱いを任せられるので、「実験をするのが億劫だな」という気持ちが起きなくなった。
 しかも、「生徒の火の取り扱いを見ることに集中しがちだったのを、考察の支援などにまわれるようになったのは大変ありがたい。また、メンテナンスがしやすいので実験後にすぐに道具の掃除が行え、道具が綺麗な状態で実験ができることも増えた」と話す。

授業での実践
 2年生「単元2:生物の体のつくりとはたらき/3章:消化と吸収」の「実験(3):だ液のはたらき」について学習する実験にて、「実験用カセットこんろ」を使用した。デンプン溶液内に唾液を入れ、約40度のお湯で温め、ベネジクト液を入れ加熱し、色の変化を見る実験である。このベネジクト液を入れて加熱をするときにカセットこんろを使用した。
 ガスバーナーを使用した際と変わらずにしっかりと結果も出て(※参照)、なおかつ安全に実験することができた。今回の実験のように、突沸したり急に色が変わったりすることで驚いたりする実験では、安定感もあり、溶液を万が一こぼしてしまってもメンテナンスがしやすい「実験用カセットこんろ」だと、安心して実験することができた。
 なお、(一社)日本ガス石油機器工業会では「カセットこんろ」の安全で正しい使い方を学べるDVD教材を作成し、全国の学校に無料配布している。

 問い合わせ=(一社)日本ガス石油機器工業会 電話03・6811・7370
 https://www.jgka.or.jp/


実験結果
 ※写真は全て生徒が撮影、加工したもの

企画特集

連載