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一刀両断 実践者の視点から【第337回】

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児童相談所の人事

 これは酷い。《女児虐待の疑い、AIの「保護率39%」評価参考に児相が保護見送り》(朝日新聞デジタル)という見出しの記事である。AI任せで無責任そのものと言われても仕方がない事件が起きている。ここでも児相の判断力や行動の鈍さが指摘されている。何故そのような事が続くのかについては言及されていない。
 そこには二つの改善がされていないからではないだろうか。一つは権限が曖昧である事、もう一つは職員の資質にあると私は感じている。数十年前から大きくは変わっていない。
 確かに保護や保護観察という言葉と実態が異なる事と、強く出た場合に指摘されないように行政得意の守り根性が手を打てなくする。これは警察も同じで事件になっていないものは後回しにされ手遅れになる。
 そして、児相の職員構成は、所長に行政職を充て、派遣される医師に医療経験は乏しいことが多いようだ。教員も配置されるがその扱う件数や内容は常識を超えている為に事務的に処理しないと対応出来ない。概してその人事は「この人で大丈夫かな?」と思われる人物や、ややもすると、腰掛けのような位置付けになっているようにも感じられる。判断や行動もどことなしか後手になっているように私には感じられた。このように最前線でありながら戦えなくても一応それなりに配置しているのが実情ではないだろうか。
 力量が高いとして教育委員会の幹部に就いた後、現場に異動する先は落ち着いた学校が多く、困難校には他の自治体から異動してきた人を当てるような人事配置がある。人事は何のためかを問うべきではないだろうか。昔から次年度人事は夏から始まると言われる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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