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担任1年目 人間関係がうまくいく84の方法

18面記事

書評

教育開発研究所 編
悩み、失敗経験した先輩が助言

 本書を読み終えたとき、心の中にふんわり温かな心地よさを感じた。昨今、教員を取り巻くニュースは、深刻化する教員不足の現状、精神疾患による休職者数過去最多など、マイナスイメージが付きまとうものが多かったからか。
 著者は経験豊かな21人の教員。担任1年目教員のみならず人間関係づくりに悩む若い先生は少なくないだろう。本書には、若い先生たちへのアドバイスとエールがつづられている。著者は教師の仕事に真摯に向き合う先輩たちだが、同じように悩んだ経験もあり、失敗も経験してきている。それらを乗り越え「今」がある。だからこそ語られる言葉には重みがあり真実味がある。
 本編は「保護者」「同僚」「上司」「子ども」の四つの人間関係がうまくいく方法として、それぞれ21の項目にして解説。84あるタイトルを見て、関心のあるところから読み始めてもよい。「全員が同じ方向を向く船に乗る」「教師本能をくすぐれ!」「保護者と『この子』のこれまでを尊重しよう」など、魅力的なタイトルが並ぶ。
 「日々悩みながら、どうしたらいいか考え続けることが教師の仕事ではないでしょうか」「誠実であれば、子どもたちと信頼関係を構築できるでしょう」などの文面からも、寄り添われる感覚を覚えた。読めば、きっと心に響く言葉が見つかるだろう。そして、また一歩前へ進めていけそうだ。
(2200円 教育開発研究所)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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