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児童精神科医は子どもの味方か

18面記事

書評

米田 倫康 著
治療の限界と教員の心構えを説く

 文筆活動を通して精神医療の課題を指摘してきた著者の新作。知的障害で軽度発達障害と診断され、療育手帳を持つ子を育てた評者には、親として納得できる内容が随所にあった。何十軒もの病院を回り信頼できる医師をやっと探し当てたが落胆したことがあった。精神は見えにくく、ましてや児童ともなると、わらをもつかむ思いで専門医に頼るしかなかったことを思い出す。しかし、薬は何の効果もなかった。
 本書では、実態を知らないために子どもを「暴走バス」に乗せる行為に例え、児童精神科医を規制・監視する医療行政が機能していないと指摘する。また、問題を解決できるのは児童精神科医しかいないとマーケティング化に成功したとも。そこで、間違いを犯しても指摘されにくい現状から、自分の身は自分で守ることが大切としている。
 著者は特別支援教育コーディネーター向けの講演で、現時点における診断や治療、医療行政の限界を分かりやすく指摘した上で、教員としてどのように子どもを助けられるかを考えてもらい、プロである教員としての専門性を譲らないでほしいと訴える。医師やマスコミの話をうのみにせず、目の前の子どもに対して判断し行動できる教員でありたいし、そうしたスキルと構えを教員養成段階から育成せねばならないと痛感させられた。知らぬ間に過ちに加担してしまう危険を教えてくれる。
(2200円 五月書房新社)
(大久保 俊輝・麗澤大学教職センター長)

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