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新課程入試・学部編成 各大学の動向は

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 令和6年度実施の各大学の入学者選抜が明らかになってきた。新科目になる大学入学共通テストをどのように利用するのか、新課程の個別入試への影響は―。来春入試と学部開設の動きとともに探った。

「情報」は国立大でほぼ必須に

 新課程に対応した令和7年度入試の共通テストの出題教科・科目は、既にほとんどの大学が予告をしている。新教科「情報」については、大部分の国立大学が出題することを表明。公立大学は対応が分かれ、私立大学は選択科目とするか、課さないところが目立つ。
 国立大学では大部分は必須科目にするが、配点を低めに設定している大学もある。一般的な6教科8科目の場合、入試センターの素点の満点は1000点。情報(100点)の配点比率は10%が標準になるが、名古屋大学は約5%(950点中50点など)、岡山大学経済学部は約3%(925点中25点)と低い。
 北海道大学や香川大学、高知大学は必須科目にするが得点化せず、成績が同点だった受験者の合否判定として利用する。
 一方、東京学芸大学の情報系コース(前期)は約18%(1100点中200点)、神戸大学工学部(前期)は約11%(450点中50点)など「情報」を重視する教育を行う大学・学部では高めに設定している。
 公立大学では約半数が必須にすると見られる。公立はこだて未来大学は令和9年度入試までの3年間、理科2科目と「情報」の中から得点の高かった2科目を評価する。私立大学でも中央大学、明治大学、早稲田大学の一部学部など、選択科目とするところが目立っている。

地歴公民 難関大、必修組み合わせ除外

 共通テストの出題科目が6科目に再編された「地理歴史」「公民」。出題科目は必履修同士の組み合わせ(「地理総合、歴史総合、公共」)と、必履修と選択の組み合わせ(「歴史総合、世界史探究」など)の二つに大別されるが、難関大学では必履修の組み合わせを出題しない傾向にある。
 北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、大阪大学、京都大学、九州大学の旧帝大や一橋大学、東京工業大学、神戸大学が「必履修型」を出題科目から除外。また秋田大学や群馬大学、福井大学などのように医学部(医学科)でも「必履修型」を出題しない大学は少なくない。私立大学でも上智大学や立命館大学などが出題しないという。知識や概念の深い理解などを問う探究科目を必須とした。
 各大学の個別入試でも対応は大きく分かれそうだ。東京大学や京都大学は探究科目(「日本史探究」「世界史探究」「地理探究」)のみを出題する。同じ旧帝大でも北海道大学や九州大学は「歴史総合」「地理総合」を含めるとしている。公民でも「公共」を出題範囲とするかどうかは、同じ大学でも学部により分かれるので志願者は確認が必要になる。

データサイエンス系、開設続く

 情報技術分野の人材需要が高まる中、データの分析などを学ぶデータサイエンス系学部の開設は来春も続く。国公立では宇都宮大学(データサイエンス経営学部)、千葉大学(情報・データサイエンス学部)、高知工科大学(データ&イノベーション学群)、熊本大学(情報融合学環)などで新たに開設される。
 宇都宮大学のデータサイエンス経営学部は、データサイエンスの素養を持って企業や組織を経営する人材の育成を目指す。入学定員は55人。1学年ではデータサイエンスと企業経営などを学び、2年の後期からどちらかの「学系」を選択する。入試では一般選抜の個別入試で英語重視の「文系型」と数学重視の「理系型」を設け、文理を問わず受験者を募集する。
 千葉大学は、これまで工学部の一部だった情報工学コースを独立。新設のデータサイエンスコースとともに情報・データサイエンス学部として開設する。力学や微積、プログラミングなどを1~2学年の共通科目に、その後、医療や環境、デザイン工学などへの応用を意識したデータサイエンス系の専門科目を置く。
 政府の教育未来創造会議は昨年の第一次提言でデジタル・グリーンなど成長分野への大学再編・統合を進めることや文理横断の観点から入試科目の見直しを促進することなどを掲げていた。

理工系「女子枠」の導入目立つ

 本年度の入試では理工系学部で「女子枠」の導入ラッシュを迎えている。
 金沢大学は理工学域が総合型選抜で「女子枠特別入試」を実施する。共通テストと口述試験で34人を募集する。
 熊本大学は情報融合学環の学校推薦型選抜に8人の女子枠を設ける。「これまで以上に男女が共に学び合い、さまざまな課題の解決に向けて切磋琢磨する環境が醸成されることで、大学全体でも多様なものの見方・考え方を知り、理解することが広がることを期待する」としている。
 女子枠の先駆けとなった東京工業大学では、令和6年度と7年度の2年間をかけて導入学院(学部と大学院を統合した名称)を拡大する。学校推薦型選抜か総合型選抜で143人(約14%)の枠を設ける。それに伴い一般選抜では募集人数の削減になった。
 私立では東京理科大学が工学部、創域理工学部、先端工学部の工学系3学部16学科の総合型選抜で計48人を募集する。高校3年1学期(前期)までの数学と理科の評定平均が4・0以上で、志望学科の指定科目を全て履修していることなどを出願の要件としている。
 文科省は大学入試実施要項で「多様な背景を持った者を対象とする選抜」の導入を各大学に求めており、その具体例として「理工系分野における女子」を挙げていた。

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