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一刀両断 実践者の視点から【第370回】

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論説・コラム

現業の仕事とキャリア教育

 《国交省、高校生向け整備士の仕事体験 10月14日から第2弾スタート》(日刊自動車新聞)という見出しの記事に、キャリア教育の問題点が透けて見える。やりたい職業に就く為にはこうしたレールに乗るようにと教えている現在のキャリア教育をやれば、上澄の生徒はいいだろうが、そのほとんどは望みとは異なる業種にいく事になる。
 特に現業にあってはまずその対象にはなっていないのである。よって3Kと呼ばれるような仕事はキャリア教育とはかけ離れた位置に置かれている。
 それを教える教師や教授にもそうした経験のある者がいないのだから、さらに縁遠くなる。
 そこで外国籍の青年を招き入れて労働力にしている現実の中に、その技術や忍耐については伝承されずに、日本の青年は安直な方にと向けられていく現実が至る所に見て取れる。
 こうしたキャリア教育の先に日本の望ましい姿はあるのだろうか。ある意味、見事に根幹が抜き取られて格差がますます広がり国家の解体を意図して行なっているのがキャリア教育の本質のように感じられてしまう。
 何故なら県の研修会講師の適任がほとんど存在していないからである。現業の行先について質問をしてもまともな回答の出来る方に残念ながら一度もあった事がない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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