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一刀両断 実践者の視点から【第373回】

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醜い勝ち方

 《貴景勝“大混戦秋場所”制す!優勝決定戦で熱海富士下し4度目V 全休明け大関Vは20年ぶり2人目の快挙》(スポニチアネックス)と報道されているが、あの勝負を観ている限り気持ちの良いものではなかった。若者が真正面から挑んで来たのを、引き技で勝ちにいったからである。
 勝負には勝っても後輩を育てる先輩としての技量の無さに角界の品格の低迷が強く感じられた。
 すなわち勝ち方の問題である。ともかく勝たないと何を言われるか分からないからだと解説していた元横綱のコメントに首を傾げてしまった。勝負に勝って相撲道に負けたと私は判断した。
 真正面からぶつかって万が一負けたら何を言われるかわからない。それよりも相手は必死に向かってくるだろうから、体を避けて引き技にすれば、先ず勝算は高いと判断したのだろうが醜く感じられた。
 力の上位とされる大関が新人に胸を貸すどころか、姑息な勝ち方をしても相撲に期待するものではないだろう。反則に近いエルボーでかちあげたりした横綱ならこれをどう解説しただろうか。
 このところこうした勝てばいいという品格が崩れてしまっている。
 こうした実態に対し、所管省庁は指導や改善指示は出せないのだろうか。あのような勝ち方は国技として相応しいとは私には思えない。醜い。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)
 

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