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授業の質を上げる超一流教師のすごいメモ

18面記事

書評

森川 正樹 著
子どもへの気付きの感度高める

 学生、社会人問わず、メモを取る行為は日常的なものだろう。記憶にとどめたいときや考えを整理するとき。それ故タイトルを見たときに「超一流教師」の語に違和感を覚えた。どんなメモが「超一流教師」というのだろうか。
 読めば納得。重要なのは「授業の質を上げる」だ。著者はメモの達人でメモの冊数は250冊以上。仕事上でも日常生活でもメモを活用し、自身のリフレクションに生かされている。仕事のツールとしてのメモだが、授業の質を上げることにつながっていくことが大事。授業改善が、さらに自分改善につながっていくという。著者はメモを取ることで「気づける体質になる」と語る。何に気付くのか。それは「子どもの素敵な言葉や仕草」であり、この気付きを増やすことで子どもの日々の成長にも気付く。「担任しか立ち会えない貴重な時間」と語る著者の言葉から子どもたちへの深い愛情を感じる。最後のページの「教師2年目の5月の朝のメモ」にも感銘を受けた。本書を読めば、何といっても教育に対する熱い思いや信念が根幹にあってこそのメモだと分かる。
 実際のメモの写真などの資料も多く提供されている。リマインダーやメモ機能などICTを活用したメモの紹介もあり、すぐに取り組みたくなる。著者のように熱い思いを持って授業改善につながるメモの活用が広がることを願う。
(2376円 明治図書出版)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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