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国語科 主体的学習における教師の「指導」―学習のための指導・学習のための評価―

18面記事

書評

勝見 健史 著
自律的な学習を支える教師の役割

 著者が「主体的・対話的で深い学び」の指導で、いろいろな学校現場を訪問して最近、気になっていることは、「主体的学習」の名の下に、子ども側に放任された「深まり無き這い回り」の授業、グループ活動に結果を丸投げしたような授業など、教師がそこで何を「指導」するのかの内実が明らかにされていない様相が数多く見受けられ、結果的に“浅い学び”になっていることだという。
 そこで、「主体的に学習に取り組む態度」としての子どもの自律が求められる今こそ、新しい「指導」が必要であると、子どもの自律を促し支える教師の役割・まなざしの在り方を改めて考えようとしたのが本書である。
 本書では、主体的学習に本気で向き合うならば、「(教師の)指導改善のための評価」は、「(子どもの)学習改善のための評価」、さらには「学習改善としての評価」へ転換すべきとする視座に立つ。評価が学習として子ども側に取り込まれるという考え方である。そのために、教師はどんな立ち位置から、何を「指導」するのかという点について、指導観と連動しながら、実践例を交え解説している。
 現場向けに読みやすく見やすい形式を編集のコンセプトとし、工夫を凝らしている。しかし、中身はハウツー本の類いではなく、「不易と流行」の本質は外さないようにした苦心が見られ、博士論文の研究成果もうかがえ、なかなかの労作である。
(2200円 文溪堂)
(矩)

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