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一刀両断 実践者の視点から【第387回】

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不登校は親の責任か

 《市長の『不登校』『フリースクール』巡る発言が物議…現場は「不快感…撤回求めたい」》(MBSニュース)という見出しの記事からは、一昔前の主張の再燃のように感じられた。この市長の認識はこれまでもこれからも変わらないだろう。市民がこうした人物に投票し支持していると言う事実がある。
 この県では、大津のいじめ事件を経ても本質が改善されていない為に教育関連の事件事故が絶えないように感じられる。ある意味、風土の中に相互不信感が根付いてしまっているようにも思われる。
 いじめ事件が起きた中学校は文科指定の道徳研究校であったし、目標にもいじめのない学校としていたのだから、ある意味道徳研究の一丁目一番地で起きたいじめ自死であった。
 先日もその後、何も変わっていないと子供を失った親が嘆いたコメントが紹介されていた。私も後任のリーダーにも会ったが改善の意思はあまり感じられなかった記憶がある。澱みがありスッキリしないのである。
 もちろん頑張って信頼を得ようと努めている教育関係者は大勢いるだろうが、どんなに高尚な取り組みをしていても、漆千杯も蟹の甲羅一欠片でも入れば全て腐ると言われる。どこが腐っているのか一刻も早く改善しない限り旧態以前価値観と認識のリーダーの安易な発言というより理解が現実逃避してしまうという分かりやすい事実が今回の例である。
 報道によると、この市長は、「不登校になる大半の責任は親にある」との認識を示したという。
 親に改善を期待するのは今の経済事情やこれまでの教育習得内容からして無理難題と思える。実態を知らず改善にも関わらず、責任だけ親に求める極めて安直な認識が残っている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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