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ガクちゃん先生の学校通信 隠れたカリキュラム、障害があるからできる教育実践

12面記事

書評

三戸 学 著
「ありのままの自分」への自信培う

 著者は、平成13年から中学校で数学の教師をされている。先天性の脳性まひのため手足と言語に障害があり、歩行は可能だが通勤時や校内での移動には電動の車椅子を使い、黒板書きは困難なので生徒に書いてもらったり事前に用意したカードを黒板に張ったりしながら進めている。
 著者もまた、障害者は能力が低いと下に見られたり、配慮を理由に当人の意思や希望を無視されたりといった「差別」を受けてきた。
 かつて通った学校は、自己肯定感を持つことの大切さを知り、自信を付ける場でもあった。だから、教師として子どもたちに「ありのままの自分でいい」という自信を与えたい。そのためのロールモデルになりたいと努力を重ねておられる。著者のような教員の存在は、間違いなく学校の多様性にプラスになる。
 本書では、教師としてのモットー、日常生活や授業風景、スポーツ、学校行事、地域で生きる姿などが生き生きと描かれている。
 一人暮らしを始めた大学時代、勇気を振り絞ったある行動が自信につながり、やがて「今度生まれてくるときも、今の自分に生まれてきたい」と初めて思えるほど自分を好きになったという経験談は心に染みる。
 講演の際には演題に必ず「いっしょに」を入れるそうだ。そう、学校は「いっしょに」時間と経験を共有しながら成長する場だ。
 (1760円 言視舎)
 (浅田 和伸・長崎県立大学学長)

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