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このクラス、ひょっとして隠れ学級崩壊?

12面記事

書評

吉岡 拓也 著
改善要する学級、授業の見分け方

 「子どもたちが、教室内で教師の指示・指導に従っているように見えるが、主体的に学ぼうとする意思がないなど、未来の創り手としての子どもの資質・能力が育たない状態になっていること」。本書では「隠れ学級崩壊」をこう定義する。
 「隠れ学級崩壊」を知るチェックリスト。学級には立ち歩きなど授業の進行を妨げている子どもはいない、だが、夢中になって学んでいる子どももいない状態にある。しかも、この学級が改善を要する状態にあることに教師自身が気付いていないことを挙げている。
 理論編(第1章)は「隠れ学級崩壊」を認識するための解説である。実践編(第2章)は授業での指導場面から「子どもの様子」を子どもの視点から読み解き、「問題の要因」を分析して「解決するために」どう授業を改善するかを提示する。説明や発問、グループ学習、机間指導、指名など日常的に教室で繰り広げられる、九つの実例を取り上げている。
 発展編(第3章)は子どもが育つ環境づくりや授業の目的の明確化、失敗からも学べるようにするなど、「隠れ学級崩壊」を未然に防ぐための考え方、方策などを展開している。
 冒頭の「隠れ学級崩壊」を示す定義は、見方を変えれば”つまらない授業”がもたらす子どもたちの状態のように映る。自身の授業をぜひ振り返ってほしい。本書にはそんな思いも込められているのではないか。
 (1980 学事出版)
 (矢)

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