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犯罪白書 少年院在院者の9割に「逆境経験」

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 少年院に在院している子どもの約6割が家族からの身体的暴力を受けたことがあることが、法務省がまとめた本年度版犯罪白書で分かった。虐待などの逆境体験をしたことがある子どもは少年院在院者の9割近くにも達し、学校生活への不適応傾向も見られた。同省は白書で、支援する側が非行少年特有の傾向や特徴を認識、理解することが重要だと指摘している。
 調査は法務省の法務総合研究所が令和3年、少年院内で社会生活への円滑な移行に向けた指導を受けていた1級処遇の少年591人を対象に実施。男子は6~9月、女子は11月末に調べた。
 虐待などの心身に大きな影響を与える小児期逆境体験の有無について尋ねた。
 少年院在院者のうち、逆境体験があると回答した割合は87・6%。具体的には、家族から殴る、蹴るなどの暴力を受けた経験があった割合が61・0%で最も多かった。次いで、親が亡くなる、離婚するなどが60・6%、精神的暴力は43・8%だった。
 また母親(義母含む)が父親(母の恋人なども含む)から暴力を受けていた割合は34・8%だった。調査からは家庭内トラブルを抱えている非行少年が多いことが改めて浮き彫りになった。
 学習面の状況も調べた。中学2年生当時の勉強の仕方を尋ねたところ、学校の授業以外で勉強しなかったが49・2%で半数にも達した。授業の理解度については分からなかったとの回答が7割近く、授業が分かったと回答したのは9・5%程度だった。
 学校をやめたくなるほど悩んだ経験は8割にあった。通学が面倒(45・9%)、問題行動や非行をした(45・0%)が多かった。一方で、勉強についていけないが34・2%、友人とうまくかかわれない(16・7%)といった理由も見受けられた。

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