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一刀両断 実践者の視点から【第422回】

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被害者への「花マル」

 《学校側は調査を拒否 女児の両親、教諭「花マル」書き込みに「震え止まらず」》(産経新聞社)という見出しの記事はやや故意に強調されているようにも感じられるが、学校すなわち校長の判断の鈍さや対応の稚拙さが感じられる。
 記事にはとんでもない事で非常識極まりない事をしているという流れがあるが、担任と女児との関係が見えにくい。
 ただし、暴力を受けた事実があるのなら調査は速急にせねばならないし、しない理由は存在しない。
 学校は警察ではないから出来ないと言う言葉の前後がない為に逃げているように、責任回避のように捉えられるが、確かに警察のような機能はないのが事実であり、強くやると越権行為としてそこまでやっていいのかと違う指摘がされてしまう事は多い。
 先ずは、学校長に手に負えないとしたら教委へ相談して対応すべき案件のように思える。このやり取りには教委が出てこないのが不思議である。
 確かに暴力が確認できていて、はなまるや君なら出来るといった記述が重なると様々な解釈が出来てしまう。信頼関係が崩壊していたら悪意を前提に取られてしまうのは当然である。
 ならばこそどう読んでも誤解が生まれないような対応をすべきであり、そうした研修をする必要もある。代理人や弁護士が入っているのでこの案件は簡単には収まらないであろう。
 かなりの労力を費やしながら相互が納得出来る姿は見えては来ない。ともかく、悩みや苦情を受け止める度量がなく事務的に対応した事が感情のもつれを生み出して、本来子どもの為に力を合わせるべき大人がぶつかり合い、納得の結末に辿り着くとは思えない。
 この案件は第三者による事実の確認と共に初期対応の不味さが際立ってマスコミの材料にされて行く事になるだろう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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