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学校におけるメンタルヘルス教育の進め方

12面記事

書評

水野 雅文・森 良一・竹下 君枝 編著
指導案と評価、海外事例も紹介

 高校学習指導要領「保健体育」に、従来の「精神の健康」を改善して「精神疾患の予防と回復」が新たに盛り込まれた。メンタルヘルス教育は「5人に1人以上が生涯に1度は何らかの精神疾患を経験」し、しかも「約75%は24歳までに発病」。「発病のピークは14、15歳」と「若者にとって非常に身近な病気」という背景から若年層にも必要になっている。
 有効だといわれる早期発見・早期対処には、精神疾患に対する正しい知識が不可欠であり、正しく理解することによって精神疾患に対する偏見、差別(本書でいう「スティグマ」)の解消につなげることもできる。
 第1部「導入編」では、メンタルヘルスの現状からメンタルヘルス教育の必要性などを解説。第2部「理論編」ではうつ病、統合失調症、社交不安症など七つの「主な精神疾患」や、薬物、ゲーム、スマホなどの「依存症・嗜癖」、自傷、児童虐待・いじめなど「思春期に多い心のトラブル」を取り上げ紹介した。第3部「実践編」には小・中・高校での指導案を掲載した他、海外の中高生への精神保健教育の事例、メンタルヘルス教育の評価、校長や学級担任などの立場に応じた役割などを示すQ&Aを掲載。第4部「コラム編」は当事者や支援者などのメッセージを載せ、精神疾患全般への理解を深めてくれる。
 「心の健康」を学ぶ小・中学校と、高校の学習とは体系的に結ばれており、他の学校種の学びの内容を見通すのにも役立つ。
(2640円 大修館書店)
(矢)

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