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一刀両断 実践者の視点から【第426回】

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論説・コラム

「道徳」の形骸化

 結果に責任を持たない道徳の授業があまりに多い。その形骸化に学校現場は疲弊していると感じている。「読解力道徳」を奨励している大学教授は勿論のこと自己満足の強い信奉者がまだまだ其処彼処に居る。
 先日もある懇談会で悪い報告からしたところ、そんな話は期待していなかったと不機嫌な様子を見せた元校長がいた。彼は「私の息子は海外の大学の教授だからね」と何の脈絡もなく自慢話を加え、「俺はあんたよりも偉いんだ」と言わんばかりの不平顔を晒していた。
 こうした元校長が今の現実を作っているのである。負の連鎖を止める最大効果の出せる道徳を形骸化させ、こうあるべきだと決めつけて力と理屈で押さえ込もうとする。
 実力では勝負出来ない、それしか出来ないのである。
 レールから外れた者を卑下し、言葉では偽善の耳障りのよい話はするが、いざとなるとその現場にも来ないし、最後まで関わろうとはしない。臆病なリーダーがあまりに多い。形骸道徳を奨励した為に青年が自死する日本を作り出した要因の一つになっているのではないだろうかと思われてならない。
 折を見てこうした傲慢な元校長を徹底して論破し糾弾したいと思っている。自己を正当化して毒舌を撒き散らして一番困難な所には顔を出さない。どれほど善良な教師は落胆させられ、生徒の可能性が削がれたかを私は眼前で嫌と言うほど見てきた。
 よって指摘により左遷は何度もされたが未だ懲りてはいない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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