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一刀両断 実践者の視点から【第434回】

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重大事故には予兆あり

 今回の航空機事故で、管制官は「海保機の進入気づかず」と話しているという。ここに管制官の判断素材の不足を指摘したい。
 最新鋭の機器を備えているはずなのに起きた事故である。レーダーで判断する事が主となる管制官ではあるが車でも前方の障害物を知らせるセンサーが装備されて衝突回避信号が出されるし、危険箇所にはカメラなど多くの機器が配置されているべきではないだろうか。
 ミスが重なって人命を失う事態は無くならない。気がついていても過信しているとか思い込んでいるという魔性が存在しているからである。
 私が校長の時、ダムウェーター(昇降機)の誤作動で、キャスターごと給食調理員が4階から落下した。命には別状はなかったが、決めつけや思い込みが判断を過信させて人命を失ってもおかしくない経験をしている。
 そう考えると今そこにある危機を意識する人とそれを進言して聞き入れる組織が必要であり、今回のような重大事故には必ず予兆があったはずである。その点を詳らかにしていかないと再発は防げないのではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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