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一刀両断 実践者の視点から【第437回】

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論説・コラム

教員の人権

 《佐賀の中学教諭が部員に暴言 保護者を「殺したいくらいイライラ」》(毎日新聞社)という見出しの記事をそれぞれの人権という視点で考えた場合どうだろうか。
 生徒や保護者が同じ事を教師に呟いたらどうなるだろう。先ず問題視されはしないだろう。
 それは何故か、同じ人間として不均衡ではないだろうか。
 先生よ、何を言われても手を出せないよな。殴り返してみろよ。訴えて辞めさせられるぞ。
 生徒から凄まれ突き飛ばされた事があるとある教師から聞かされた。また、生徒が唾を吐きながら廊下を歩きそれを教師が拭き取りながら歩く、バスケットボールを職員室で投げて教師の前歯を折りそれでもその校長は表沙汰にしたくないと被害届や公務災害を申請させないで自腹で治療費を出して収めようとした事があった。
 さらにエスカレートして流血の事態となりやっとのことで措置された事があった。元指導室長だった校長は、私が困難校の指導に複数回入る事を目立つからの理由で断ってからの出来事であった。
 やがて校長会長になり名声を得たものの、措置された生徒はもとより歯を折られ鼻を折られ脳震盪を起こされた教師達の被害は暗黙に伏された。
 防止のために元警察官を配置するようになったが、自分の身は守るそれが正当防衛なら問題ないとすべきであり、傷害罪は立場によって科されるものでなく、行為によって科されるべきものである。
 教師が弱者にされては指導は成り立たない。今回の暴言がどのような状況の中で起きたのか、その様子を書かないと教師が悪いと決めつけている意図のある記事と読まれてしまう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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