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カウンセラー、元不登校の高校生たちと、フリースクールをつくる。 学校に居づらい子どもたちが元気に賑わう集団づくり

16面記事

書評

野中 浩一 著
「安全感」ある学びの場づくりに奮闘

 不登校30万人時代を迎えている。またフリースクールを否定する発言をした首長が話題になった。文科省でフリースクールとは、「一般に、不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設」と定義している。
 本書はひょんなことからフリースクールを立ち上げ、その後、大学院で心理学を学び直し、スクール経営に当たった著者の悪戦苦闘の記録である。大学院で習得した深い学識と現場体験や自身の生育歴など多様な視点から描かれる。
 また、オランダのオルタナティブスクール、特にイエナプランに着目している。自身のフリースクールにも少なからず影響しているようだ。本書の所々に「フリースクールコラム」がある。これは当校の保護者用通信で、読者に分かりやすく解説するために掲載されている。著者は、生徒一人一人の安全感の集積が人との関わりを通じて成長を促進する土壌になると考える。しかし現代は子どもたちの安全感を保障してくれるはずの家、地域、学校などのよりどころがおぼつかないとしている。
 不登校経験者である文科省職員が、「こぼれ落ちたものを拾う形でしかオルタナティブを形成できない日本の教育構造が学校と対等な存在としての発達を阻害している要因だ」と言う。新たな学校の形となり得るか、フリースクールの今後に注目していきたい。
(1870円 遠見書房)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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