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他教科や隣接校種、専科担任など免許状授与数の状況

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 教師が複数の教科の免許を持つことは、教育現場において柔軟性と適応性を高め、児童生徒の学習体験を豊かにする役割を果たす。では、こうした他教科や隣接校種、専科担任などの免許状授与数の状況はどうなっているのか。

他教科免許取得は情報と外国語が多い

 文科省が2021年度の教員免許状授与件数を調査した結果によれば、現職教員による上位の普通免許状の授与件数は、専修が258件、一種1017件、二種6695件となっている。これも所定の経験年数があれば、通信制大学などで学んで取得が可能で、自身の資質向上とキャリアアップにつなげることができる。特に二種は、10年前と比べて倍近く授与件数が増えているのが特徴だ。
 中学校または高等学校の普通免許状を有する者が、所有している免許状をもとにして他教科の免許状を授与した件数は、中学校が499件、高等学校1303件で合計1802件になる。そのうち、中学校で最も多いのが外国語の190件で、以下国語、数学と続く。高等学校では情報が333件、公民209件、地理歴史174件の順になっている。授与件数の推移は、ここ10年間でそれほど変わっていないが、中学・高等学校共に一種免許状が大半を占めている。
 現職教員による隣接校種の普通免許状授与件数は、小学校教諭が幼稚園免許(二種)を取得した件数が78件。幼稚園・中学校教諭が小学校免許(二種)を取得した件数が961件。小学校・高等学校教諭が中学校免許(二種)を取得した件数は498件で、内訳は外国語が334件、社会53件、国語38件、数学27件、理科15件となる。中学校教諭が高等学校免許(一種)を取得した件数は30件で、内訳は情報14件、公民7件、地理歴史4件となっている。

特別免許状の受け入れは消極的な結果に

 一定のキャリアや経験をもつ社会人を受け入れる特別免許状の授与件数は、全体で2276件。このうち小学校は外国語(英語)を中心に98件。中学校は外国語の70件が最多で、そのほか理科、社会、数学、保健体育、技術、美術が若干名あって469件。一番採用が進んでいる高等学校は1502件で、外国語が最も多く101件、次に看護が24件、工業が17件。ここ数年、外部人材の活用として文科省が肝いりで進めている割には増えてはおらず、各自治体・教育委員会での採用は消極的なままだ。なお、特別支援学校は207件となっている。
 正規の教員が確保できない場合に「例外的に授与」される臨時免許状の授与件数は、小学校が4192件、中学校2051件、高等学校2424件と、いずれもここ数年は微増状態を続けている。
 気になる専科担任の状況については、2022年3月末時点までの調査を含め、中学校教諭免許状を有する者による小学校専科担任数が8606件。音楽がもっとも多く3400件。次いで外国語・外国語活動が2411件となり、理科は271件、算数は165件と少ない。高等学校教諭免許状を有する者による小学校専科担任数は466件。高等学校教諭免許状を有する者による中学校専科担任数は61件となっている。
 また、中学・高等学校において、ある教科の授業を担任する教諭が確保できない場合に許可する免許外教科担任数は、過去3年を通して横ばい状態を続けている。

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