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GIGAにとどまる学校、学校DXに進化する学校 ネクストGIGAの新しい学びを求めて 

19面記事

書評

平井 聡一郎 編
学校自体のシステム変革を説く

 GIGAスクール構想による1人1台端末の実現により学校のデジタル化は進展したように思われるが、実際はそうではないようだ。全国学力・学習状況調査の質問紙調査からも地域差、学校差が見受けられる。そういった危機感から本書は書かれている。
 まずは今後の社会の将来像に始まり、学校DXで何が変わるのか、学習eポータル、教育データの活用、デジタル・シティズンシップなど多岐にわたりその必要性が述べられる。次に、全国の先進校の取り組みを紹介し、さらに、今話題のチャットGPTの活用事例もある。校務のデジタル化についても、先進地区教育委員会の事例を紹介。以上のように学校DXについて、目的の明確化、学びの改革、校務のDXという三つの視点で書かれている。
 地域や学校間の格差が生まれる背景として、先生や学校が機器に不慣れということではなく、学校のシステム自体が社会の変化に対応できていないことに起因すると述べている。確かに多くの学校では授業での活用が精いっぱいで、システム変革には至っていない。現在の状況は学校にとって、大げさだが黒船来航や文明開化に近いものかもしれない。同時進行で働き方改革もある。急激な変革は混乱を伴い、一定の時間はかかるものだ。学校のシステムのどこに課題があり、そのためにどうしたらよいのか、丁寧な分析が必要だ。
(2530円 教育開発研究所)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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