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地域の特色がよくわかる! 47都道府県おもしろ条例図鑑

17面記事

書評

長嶺 超輝 著
制定背景から歴史や文化の学びへ

 条例は、地方公共団体が国の法律とは別に定める自治立法であり、平たくいうと特定の地域だけで守るルールである。そのため、その地域ならではの独自性も表れる。本書は、日本全国のユニークな条例を地図やイラストを添えて紹介している。
 わが町・京都市では、乾杯は日本酒で行う条例がある。酒どころの伏見のお酒で乾杯をすることが多いのだが、この「清酒の普及の促進に関する条例」は日本初で、実際、市内の日本酒の売り上げが伸びたそうだ。その後、全国200以上の市町村に「乾杯条例」が広がったと聞けば、条例は地域の産業振興に大いに役立つことが分かる。
 このような例は他にもある。鳥取県の「手話言語条例」も全国初。県民が手話を学ぶ機会を提供し、手話の意義を理解するよう努めるというもので、今や全国に広がっている。一つの条例がみんなの幸福につながる好例。
 鹿児島県志布志市の「子ほめ条例」も楽しい。親切な行いをしている子どもには「親切賞」を、よく本を読む子どもには「読書賞」など楽しい賞が用意されているそう。
 なぜそのような条例が作られたのかを調べると、その地域の歴史や文化、風土、自然を知ることにつながり、そこで暮らす人々へ思いをはせることができる。そして、興味・関心が増し、もっと調べたくなるだろう。授業で活用できる楽しい図鑑だ。
(4180円 旬報社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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