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国語科学習用語辞典【作文指導編】 テキスト生成AI時代に対応する小・中学生作文指導例・文例

17面記事

書評

柳谷 直明 著
発達段階ごとに授業づくりを指南

 画期的な作文指導の実践理論書が出版された。なぜ画期的なのか。文例が実に分かりやすく、それをヒントにして、授業化ができるからである。辞典というよりも作文授業の指南書になっているのである。
 子どもたちの読解力や作文力が上達しない原因の一つとして、これまでの国語科は、指導事項が他教科に比べて抽象的ということが挙げられるという。本書は、「国語科授業で学習者が理解し使用する言葉」を「国語科学習用語」と呼び、それぞれの定義、解説、指導例等を記載した。何よりもテキスト生成AIの時代にマッチしている点が、これまでの作文指導の本にはなかったことである。小学校低学年、中学年、高学年、中学校一年、二・三年生の五つに分け、最初に「作文指導ポイント!」「『取材メモ』のポイント!」や文種ごとの構成例や文例などを掲載している。
 もちろん、作文指導の理論面の書としても、抜きんでている。例えば付録として巻末に紹介されている「年間指導計画作成例」では、小学校低学年100時間、中学年85時間、高学年55時間、中学校一・二年各36時間、中学校三年27時間と具体的な作文の授業時数を明示し、文種例まで紹介されている。
 この好著をヒントにして、作文授業が活性化すれば、学校教育も変えてしまうぐらいのインパクトがある。
(溪水社〈プリント・オンデマンド〉 2200円)
(庭野 三省・元公立小学校校長)

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